つい先頃、東京では、コロナ禍で1年延期となったオリンピックが開催され、世界中のアスリートたちが熱い競技を繰り広げました。
各国の代表として選ばれた彼らは、限界までの努力を積み重ね、誇りを抱いて、世界の頂点をめざして競い合うことになりました。
しかし、どんなに努力し、準備を重ねても、結果に結びつくとは限りません。前評判では実力随一の選手が、いざ本番になると力が発揮できずに敗れてしまうこともあります。
現実の世界で本当に願うことを実現することは、それほど困難で特別なことだということなのです。
だからこそ、「人事を尽くして天命を待つ」という言葉が、私たちの心の拠りどころとなるのではないでしょうか。
けれども、問題や課題を「どうしても解決したい」「絶対に乗り越えたい」と切実に願う人にとって、「努力できた」では十分とは言えないはずです。
今回の講演会のテーマである「ゴールデンパス」とは、あるべきものがあるべきところに収まり、すべてを輝かせる道──。
まるで未来から逆算してすべての難所をクリアしてしまう奇跡の道のことです。そこでは、人智を超えて宇宙に流れるエネルギーと共鳴し、それらを味方につけてしまうようなことが起こっています。それは、「人事を尽くして天命を待つ」にとどまらず、「天命」を動かしてしまうということです。
つまり、ゴールデンパスとは、私たちの「ベストの努力」を、最善の現実をもたらす「ベストの実践」にする道にほかならないのです。
ワクチン接種の浸透とともに、コロナ禍は落ち着きを見せることになるでしょう。しかし、コロナがもたらした、経験したことのない現実は、私たちの世界を大きく変えることになりました。
世界がもともと内に抱えていた様々な問題をあぶり出し、深刻な分断を増幅し、より際立たせたのです。民主主義と専制主義、先進国と途上国、富裕層と貧困層、若い世代と高齢者、都市と地方等々──。
そのいずれもが、具体的で切実な、ゆるがせにできない課題を私たちに突きつけています。
アフターコロナの時代は、新たな希望と抜き差しならない危機が交錯する混沌とした時代──。だからこそ、私たちは、現実を最適化して「ベストの実践」を導くゴールデンパスを何よりも必要としているのではないでしょうか。